瞑想と食(1)Aさん:早食いとドカ食いの傾向があります。それを改める目的で、ゆっくりご飯を食べるイメージトレーニングをするのは間違っていないでしょうか。また2週間に一度ぐらい断食をしています。アドバイス: 早食いもドカ食いも瞑想にはあまり良くありません。なぜかと言うと、どちらも消化に負担をかける食べ方だからです。良い瞑想に必要不可欠なのは意識の透明感ですが、消化に負担がかかると意識がドンヨリ濁っ...
瞑想修行にあたって記事一覧
ラベリング(1) −その働きと付け方−<ラベリングの基本>Aさん:ラベリングと認識の関係について教えてください。アドバイス: まずラベリングは対象の中に入らない、情報の中身には入らないというのが大原則です。 「カァカァ」と聞こえたら、「からす」ではなくただ「音」「聞いた」とします。同じように赤でも紫でも色が出てきたなら「色」「見た」あるいは「イメージ」です。 ここからはラベリングの威力の話に...
ラベリング(2) ―言葉と認識―◎ラベリングの言葉Aさん: 良くないラベリングとはどのようなものでしょうか。アドバイス: 例えば、ニャーニャーと聞こえたときに「猫」、ワンワンで「犬」、こんなラベリングはありません。 猫である犬である、あるいは赤ちゃんだ激辛ラーメンだという判断は、「見た」「聞いた」という直接知覚と、その直後にそれまでの経験やイメージに照らし合わせて推測しているいわば非法の部分...
瞑想修行の時に(1) --サティの対象-- Aさん坐る瞑想をしていて気分が悪くなりました。食事や身体的なこともあったのではないかと思ったのですが、思い当たることもなく、車や酒に酔っているような感じです。その時は「気持ち悪い」「焦っている」「イライラしている」とラベリングしましたが、それで良いのでしょうか。アドバイス: 気分が悪いというのは身心感覚としてどうなのかを、お医者さんが聴診器で調べるよう...
瞑想のヒント(1)A さん「瞑想が進む」というのはどのような内容を意味するのでしょうか。その目安は何でしょうか。アドバイス: 第一に技術的に正確に出来ているかどうかということです。つまり、きちんと感覚を取って「50対50」の優勢の法則をかけて適切なタイミングでラベリングをするという、初歩的な技術の正確さが求められます。これが正確に出来なかったら話になりませんから、先ずこの基本の確認です。 次に...
瞑想のヒント(2)Aさん: 私は先生の文庫本『瞑想のフシギな力。』を読んですぐに試してみたところ、それまでどうしてもやめられなかった飲酒がセーブできて休肝日が作れるようになったことにまず驚きました。それで、もう少しこの不思議な力を持つ瞑想を深めてみたいと思って参加させていただきました。 初心者は1日10分から始めると良いということなのですが、時間の区切りをはっきりつけると瞑想の時の心身の状態を...
瞑想と環境(1)Aさん:40年以上も空いていた自宅の隣の空き地に家が建つことになりました。そうなると、おそらく瞑想する上では環境がかなりマイナスの方向になってしまうのではないかと予想され、へこんでいます。 また、越して来る本人が挨拶に来るのが常識だと思うのに、情報は全て業者からというのも気になっていて、慈悲の瞑想でこちらが受け入れる姿勢を何とか発揮しなければと思っています。環境の変化には自分の心...
眠気への対処 (1)ヴィパッサナー瞑想の中でも、坐りの時に眠気に襲われるとなかなか脱出できず、あとで自己嫌悪に陥ったりするのもこの問題です。どのように克服するか。きちんと原因を把握して対処することによって乗り越えることは十分可能です。Aさん:坐りの瞑想の時に眠気が出て、ラベリングしても眠気が消えていきません。どう対処すれば良いでしょうか。アドバイス: 身体の面と心の面、二つの面から考えます。 ...
ヴィパッサナー瞑想の基本(1)<ヴィパッサナー瞑想の目的>Aさん:ヴィパッサナー瞑想の目的を端的に言えばどういうことになりますか。また、それを実現していくには何から始めれば良いでしょうか。アドバイス: ヴィパッサナー瞑想の目的を端的に言えば、煩悩から離れた心の状態を実現することと言えます。 煩悩は、思考→妄想→煩悩というプロセスで出てきます。思考や妄想が働かなければ、あらゆる現象が法としてある...
ヴィパッサナー瞑想の基本(2)Aさん:ヴィパッサナー瞑想の上達のコツを教えてください。アドバイス: 今回が初めての方ですね。 瞑想はスポーツや芸事と同じで、少し練習しただけですぐに上達できるというものではありません。毎日10分間以上は必ず瞑想してください。やり方のポイントは、まず足やお腹の感覚をしっかり感じることに集中してください。 歩く瞑想の場合でしたら、足の感覚を丁寧に観ていきます。例え...
ヴィパッサナー瞑想の基本(3)Aさん:禅宗の坐禅に対して、ヴィパッサナー瞑想の坐る瞑想の特徴は何でしょうか。アドバイス: 禅とヴィパッサナーでは、そもそも悟り観が違うので行法も異なりますが、共通点もあります。禅宗の中でも、例えば臨済宗では数息観から始まって公案を用いるし、曹洞宗ではひたすら坐り抜く只管打坐ですね。どちらも思考モードを離れることが最大のポイントで、概念の世界から来るものはしょせん妄...
修行上の質問 --理論編--(1)<仏教的選択の基準>Aさん:善悪の判断のつかない時にはどのように選択していけば良いのでしょうか。先生は何を基軸として判断されているのでしょうか。アドバイス: 仏教の基軸は悪を避けて善を為すということです。しかし、その判断が分からない、明らかな善とも言えずまた悪とも言えない、そういう難しい時にでもやはり意志決定をしながら生きていくしかないのが私たちです。決めなけれ...
修行上の質問 --実践編--(1)<坐禅と歩行>Aさん:今は坐禅よりも歩行の方が楽しく、感覚も良く取れるので歩行瞑想ばかりやっています。でも、どうもバランスが悪い感じがしてこれじゃいけないと思っています。アドバイス: 一つだけにのめり込むのはやはりバランスが崩れていく方向になりますから、ヴィパッサナーには向きません。たとえ苦手であってもそちらもやるのがよろしいのです。 また苦手な方もやっていく...
修行上の質問 --実践編--(2)〇欲と怒りのモグラ叩きAさん: 瞑想をやっていくと怒りが減る替わりに欲が出てきて、しばらくするとまた怒りの種になるようなことが浮かんできて苦しくなるという悪循環です。欲と怒りのモグラ叩きのようです。アドバイス: 怒りには、こちらの思い通りにいかない状態に対する嫌悪という要素がありますから、ある意味では欲望系ということになります。こちらがウペッカー(upekh?:...
修行上の質問 実践編(3)―姿勢―Aさん:瞑想で歩いたり坐ったりしていると、そのうち背中が丸くなって姿勢が悪くなってくるのが感じられるのですが、そうならないようにするにはどうしたらいいでしょうか。アドバイス: 一般に、歩く瞑想よりも座る瞑想中に姿勢が崩れて背中が丸くなるケースが多いです。 いずれの場合も「姿勢保持」に意識がまったく払われなくなった時に起きる現象と言えるでしょう。 良い姿勢で...
修行上の質問 実践編(4)Aさん:悩みを抱えている時には、とにかくその悩み自体を見たくなくて感覚に集中しやすかったのですが、あまり悩みごとがないと体がむずむずしてきて、感覚に集中してラベリングすることがとても苦しく感じられます。アドバイス: 一般的にどなたでも、瞑想をやってみよう、修行をしよう、と思うのは、苦(dukkha:ドゥッカ)に遭遇したときが多いのです。 苦がなければ、誰でも楽しいこ...
修行上の質問 実践編(5) ―痛みの観察・病気の時に−○痛みの観察Aさん:痛みが出てきた時、どう対処すればよいのでしょうか。アドバイス: 痛みに限らず、苦受を伴う嫌なことは反射的に避けたいという反応が起きるものです。痛みを感じた瞬間、まず「痛み」とサティが入らないと、自動的に痛みを消したい、逃れたい、という反応に巻き込まれていくでしょう。 痛みが生じたことと、その痛みにどう反応するかは2つの...
修行上の質問 実践編(6)Aさん:坐る瞑想での膨らみ縮みですが、膨らみの感じを最後までしっかり感じてからラベリングすると、縮みの感じがすでに始まっているような具合になり、どうもうまくいきません。どうタイミングを取ったらよいのでしょうか。アドバイス: 歩く瞑想では、一足一足の動作を最後まで見切って、余韻を感じてからラベリングするタイミングがよいと教えられていますよね。この方がセンセーションの知覚...
修行上の質問 実践編(7)Aさん:日常生活でサティを入れると余計なことを言えなくなったのはよいのですが、理論的な説明をする時にも言葉が出づらくなってきた感じです。アドバイス: 毎日瞑想される時間はどのくらいでしょうか。一日の瞑想が1〜2時間以内だったら、その瞑想が原因で言葉が出づらくなることはあまりないように思われます。瞑想が終われば、普通に妄想し、会話し、メールを読んだり書いたり新聞を読んだ...
修行上の質問 実践編(8) −サマーディの周辺−Aさん:歩行瞑想の時に集中ができ、結構楽しいなと感じました。人が多くて邪魔になるかと思い外に出ようとしましたが、「この感じが多分消えてしまうだろう。行きたくない」と心に浮かび、「欲」というラベリングでサティが入りました。そうしたら、「欲をなくしに来ているのに何をやっているのだ」と浮かび、「じゃ外に出よう」とした時、「これはレポートするのに良い材料が...
集中力をつけたい(1)<集中とは>Aさん:集中の意味について教えてください。集中が良ければ妄想は出ないのではないかと思いますが、もし妄想が出たとしてもそれに常に気づき続けるのも集中と言うのでしょうか。アドバイス: 前半がいわゆる集中で、後半はサティが機能している状態です。 結局注意の注ぎ方の問題で、集中とは心を一つのことに向け続けることです。 例えば、「離れた」「進んだ」という足の感覚、お腹...
感覚の取り方のヒント(1)<腹の感覚>Aさん:お腹の感覚が微弱で良く取れません。アドバイス: 一般的に腹部の感覚は捉えにくいです。もちろん簡単に取れる人もいれば、修行自体は悪くないのにどうも取りづらいという人もいます。ですから、微弱ではあってもそれを否定的に考えることはありません。ただ、トローンとして子守歌のような感じであれば、「膨らみ」「縮み」と言いながらも、あまり状態は良くないかも知れません...
感覚の取り方のヒント(2)Aさん:歩く瞑想のとき、足を上げて前に進める時には足裏の感覚が取りにくくなります。そのときには、膝とか太股に意識を移しても良いのでしょうか。アドバイス: 理論的には、膝や太股など他の部位に意識を移さない方がよろしいです。 歩行の時に一番感覚がはっきりしないのは進む時です。膝や太股の筋肉はかなり動いていますから、そちらの感覚はだいたい取れるのですが、足首から下のあたりはやは...
妄想を離れる (1)Aさん:「妄想」「妄想」と何度サティを入れても消えない場合、どうしたらよいのでしょうか。アドバイス: 瞑想している時に、妄想を消すことにこだわってあれやこれやと試みることは執着につながります。妄想が出たのはちょっと前のことなのに、それにこだわると次々と新たな妄想を生み出して現在の瞬間をとらえるという定義からは外れることになりますから。 その場合は、素直に「消えないんだ」とか...