<生き方をめぐって(1)>Aさん: 私は失敗ばかりしてきました。ヴィパッサナー瞑想に若い頃に出会っていたら、どんなに苦が少ない穏やかな人生を送れただろうと思うと悔やまれてなりません。アドバイス: 瞑想修行はいつから始められても遅くはありません。過去に失敗経験を重ねてくれば当然人生の痛みが身に沁みていることでしょう。その痛みがあるからこそ真剣に修行に取り組もうという姿勢にもなるのです。 もし心...
よりよく生きるために記事一覧
善行の瞑想 ― クーサラを心がける(1)Aさん:徳の高い方へお布施をする方が良いと読んだことがありますが、例えばホームレスの方へお布施をするのはどうなのでしょうか。アドバイス: 徳の高い比丘へのお布施は、徳のない人へのお布施よりも波羅蜜(善業の集積)のポイントが高いと言えるでしょう。なぜなら、徳の高い人ほど受けたお布施のエネルギーをさらに善なる方向に及ぼしていくからです。善いものが何倍にもなって...
怒りを乗り越える(1)Aさん:怒りについて、私の場合、自分自身のなりたい姿というのがあって、そうなりたいと心では思うのですが、なかなか思う通りには出来ません。そうすると、そういう自分に対して怒りが出てきたりします。やはりそこの考え方を変えるしかないのでしょうか。アドバイス: たとえ思い通りにならなくても怒らない人もたくさんいますから、たしかにそれは考え方の問題と言えるでしょう。 あらゆるものご...
戒を守る(1) 戒を受け入れて守っていくことは、決して仏教の前座ではなく、解脱が完成した状態の表現といっても良いほど重要です。ダンマトークでも度々強調しておりますが、今回は特にそれに関連する内容でまとめましたので、ぜひご修行に役立てて欲しいと思います。Aさん:なぜ戒を守らなくてはいけないのですか。アドバイス: 戒がなければブッダの教えにはならないからです。 まず、仏教ではいついかなる時でも煩...
ヴィパッサナー瞑想と心の変化(1)Aさん:どうしても貪りの心が消えません。アドバイス: 貪りの心というのは、本当に無くすのが難しい煩悩と言えるでしょう。すべての生物は、たとえ微生物でも、快感を好み不快感を嫌悪するというプログラムのもとで生きています。生命にとって快感を得られる状態が安定しているということは、その生命が生きていくことと直結しています。ですから、それを止めるというのは生きるのを止めよ...
ヴィパッサナー瞑想と心の変化(2)Aさん:自分が大切にしているものやきれいにしているものを他人に汚されたりするとどうしても怒りが出る時があります。サティでその場は収まっても同じことがあればまた堂々巡りです。そんなにきれいにしなくてもと頭では分かっていても、脅迫的なものでどうしても治まらないところがあって、そういう性格を自分でも治していきたいと思っています。アドバイス: サティを入れて妄想を止めそ...
ヴィパッサナー瞑想と心の変化(3)Aさん:この瞑想をする目的を教えてください。アドバイス: ヴィパッサナー瞑想をする目的は、人生の苦しみを無くすためであり、苦を無くすために心を浄らかにしていくことが目的と定義できるでしょう。 この瞑想はもともと、悟りをひらいて解脱することを目的として始まっています。お金のことや男女関係や親子関係など、この世の苦しみは無数にありますが、どんなに苦しみを乗り超えて...
サティの成長 (1) --様々な場面で--<中心から外れた時>Aさん:時々集中が中心対象から外れてしまいます。そうなった時には、どう対処するのがベストでしょうか。アドバイス: まず、どんな現象が起きても一旦中心に返すという、この命令をしっかり心に入れておいてください。 その命令が強力に入っていれば、たとえ咳の音が聞こえても即座にサティが入って「音」とラベリングされ、自動的に中心に戻る可能性...
親子関係の再確認(1) ―父と子、内観へ―(2015年3月号「慈悲の瞑想 (1) 」につづくEさんへのアドバイスアドバイス: 基本的には、親を嫌っている間は自分を嫌う感覚も残ります。私たちは良くも悪くも親のコピーですから、親を嫌っているということはそのまま自分をも嫌っているということです。逆も同じで、自己嫌悪があるということは同じ資質を持つはずの親を嫌っているという訳です。そういうものです。です...
親子関係の再確認(2)Aさん:4歳と5歳の子どもがいます。瞑想会に参加するためにはどうしても子どもを置いて行かないといけませんし、また瞑想しようと早起きすると子どもも一緒に起きてしまって出来なくなることがあります。アドバイス: お子さんに瞑想している姿を見せると良いですよ。Aさん:うまくいく時もあります。それから、瞑想しているからここで寝なさいとか言って膝の上に乗せることもあります。アドバイス:...
慈悲の瞑想(1)<慈悲の瞑想のやりかた>Aさん:慈悲の瞑想はいつどのようなかたちでするのが良いでしょうか。またそのポイントはどこにありますか。アドバイス: 慈悲の瞑想は集中して実感を込めてするのが理想です。それも涙が出るくらいに心から。これがポイントです。これはサマタ瞑想のやり方と同じと言えます。 まず定番通りにやりまして、その後に誰か特定の人の名前を主語にして、「〇〇さんが幸せでありますよう...
慈悲の瞑想(2)Aさん: 5、6年前ですが、会社の上司ととにかく全くウマが合わずダメでした。あるとき心随観の瞑想中にいきなり「殺意」という言葉が出て、しかもそのとき腰の痛みも消えてしまい2度びっくりしました。それまでの「怒り」とか「憎しみ」というラベリングでは全く何も変わらず、どうにもならなかったので本当に驚きました。 それから主に慈悲の瞑想を続けて5年になりますが、この1年くらいはもうほとん...
ヴィパッサナー瞑想の構成(1) --反応系の心の変化とは--<理論の理解を>Aさん:理論と実践とはどちらが大切ですか。アドバイス: 何ごとによらず理論の理解と実践とはどちらも大切ですが、とくに原始仏教やヴィパッサナーは、ダンマの理解を抜きにしては成り立ちません。執着を離れて掴んでいたものを手放すことや離欲してゆく方向は、ダンマの正しい理解があってこそ確固としたものになります。 例えば、四聖諦の...
人間関係をめぐって(1)(2) 人間関係に関する悩みは、体験されない方はほとんどいないでしょう。ヴィパッサナーの視点からこれをどう捉えるのが良いのか、これまでのインタビューの中から関連するものを取り上げました。(1)Aさん:あまりに非常識な人間を相手にした時、あるいはそのような相手から同意や行動を強要された時にはどうすればよいでしょうか。アドバイス: そのような人を相手にしたくないと感じるのは、...
人間関係をめぐって (3)Aさん:先日カウンセラーの先生に罪悪感があるのではないですかと言われ、それで思いついたことがあります。 中学校の時のクラスに、今考えるとちょっと知的障害があったような子がいました。友達もなくて私にくっつこうとしてきて、最初は付き合っていたのですが話しも面白くないしウジウジするしで、電話がきたりもしたのですが離れちゃったのです。そしたらその子はクラスで孤立してしまって・・...
欲望を回避する(1)〜(3)(1)Aさん:欲望をどう抑制していくかについてお伺いします。たとえばサティを入れて食欲をコントロールしようとするのですが、結局は負けてしまって自己嫌悪という結果となることがあります。食欲に限らず、こうしたことはどう解決していけばよいのでしょうか。アドバイス: まず、少しでも欲望を制御し、執着を減らしていけば幸せに生きられるということ、最初にこのことをしっかり押さえてお...
日常の場面で(1)Aさん:日常生活の中では、歩行瞑想や坐禅瞑想と違ってサティがかなりいい加減になってしまいますが、それでも瞑想した方がいいのでしょうか。アドバイス:サティが粗くなっても、できるかぎりサティを入れるようにした方がよいのです。 そもそも日常のサティは、今自分は何をしているかの「自覚のサティ」が維持されていればマルと考えます。 日常の細部にまで細かなサティは入らないのが当たり前と考え...
日常の場面で(2)Aさん:95歳の祖母が亡くなって以降、瞑想が全くできなくなってしまいました。アドバイス: 夭折された場合の死は受け容れがたいものですが、高齢者になれば死んでいくのは当たり前なので、比較的その死が自然に受け容れられるようです。もし95歳の祖母の死によって心が乱れ、瞑想ができないのであれば、故人に対する特別な思い入れがあったのではないでしょうか。両親以上に自分を可愛がってくれたとか...