尋ねたかったこと(1)<行為の結果と自由意志>Aさん:すべてが縁であるとすると、人は自由意志を持つことができるのでしょうか。アドバイス: これは哲学的にとても難しい問題です。 例えば「腹が立った」とします。果たして私たちは明確にその時の状況を理解した上で、ここで怒るべきかどうかを自由かつ冷静に判断して怒りを発しているでしょうか。大方の経験では、そうではなく、刺激に対してほとんど自動的に反応して...
日頃の“?”を訊いてみた記事一覧
尋ねたかったこと(2)Aさん:ブッダは悟りを開かれた時、なぜ伝道をためらったのでしょうか。アドバイス: それは悟りの内容が、この世間の流れに逆らう教えだったからです。以前にも紹介した(注1)ことがありますが、経典には次のようにあります。 「困苦してわたしがさとりを得たことを、今またどうして説くことができようか。貪りと瞋りに悩まされた人々が、この真理をさとることは容易ではない。 これは世の流れ...
尋ねたかったこと(3)Aさん:梵我思想とブッダの説かれた教えとの違いをわかりやすく説明してください。アドバイス: 梵我思想は、ヒンドゥー教の根本原理であり、広義には中国思想のタオイズムや大乗仏教思想の根幹にも関わってくるものです。一方、ブッダの教えである原始仏教は、梵我思想と解脱観が異なります。 それは、現象世界を肯定するか否か、煩悩を否定するか否かという問題です。 ブッダが亡くなられて約五...
日常における気づきモードの安定 (1)Aさん:ヴィパッサナー瞑想の修行をしてサティが入るようになると、日常生活にはどのように生かされて来るのでしょうか。アドバイス: ヴィパッサナー瞑想は、現在の一瞬一瞬の状態に気づくという心の要素を育てる訓練を基本とします。その訓練を日々頑張っていくことで次第にこの瞑想が定着してくると、今の自分の状態に対して確認する心や、生起するものごとに瞬間的に対応する即応性...
内観に行く時の心得(1)心の反応パターンを善の方向に向ける条件を整えるためには、身近には身辺の整理、あるいはヴィパッサナーの面からは聞法、随念、戒の受け入れなど、数々の優れた方法が存在します。そうした心を矯正していく効果的なやり方の一つに内観があって、近年では広く知られるようになって来ており、私から勧めることもしばしばです。そこで今回は、内観へ行く時に心掛けること、前もってしておくとなお良いこと等...
内観に行く時の心得(2)Aさん: いま子育て中ですが、先生に「内観に行ったほうが良い」と言われて行って参りました。自分の中でものすごい変化があって、本当に行って良かったです。 祖父はもう他界していますが、私の中ではずっとわだかまりがあったので、それが変わりました。また母に対しても、私がこんななのは母の育て方が悪かったからとか思っているところがありました。内観へ行くまでは、こちらもこの歳だし「ま...
瞑想への期待と質問(1)Aさん: 会社ではいろいろな問題が日々起こります。そんな時にはどうしても今までの行動や感情のパターンで解決しようとしてしまうのですが、いつも迷いがあり自信が持てません。批判や否定的な反応を恐れているのかもしれませんが、瞑想をどう仕事に反映すべきか考えています。アドバイス: 意志決定をする時に大事なのは、何が問題なのか正確に現状を把握することと、揺るぎない判断基軸を持つこ...