『ゆるやかに変わっていく母・・・』 匿名希望
朝日カルチャーの「ブッダの瞑想法とその理論」に通い始めてから1年半が経ちました。ふと気付けば、今までになく心が静かで軽くなってる時間が増えています。自分を取り巻く環境が劇的に変化‥‥というわけではないのですが、あたりまえの日常がどんなにか貴重で、生きていること自体が奇跡であると思えるのです。
いつの頃からか、私は母親とことごとく折り合いが悪くなり、母を恨み、私の人生の諸悪の根源は母であると思い込み生きてきました。今思えばなんと恐ろしいことでしょう。もし自分が自分の子供に恨まれ続けていたとしたら、こんなに悲しいことはないでしょう。
そんな感情を持ち続けながら生きてきたのですから幸せになるはずがありません。常に行く先々で人間関係に苦しみ、常に身体の不調、倦怠感を感じていました。「楽しい」ということがどういうことなのかわからなくなっていました。しまいには生きていくことも苦痛になり、消えてしまいたいというところまで落ち込んでいきました。
その頃、友人からある新興宗教に誘われ、10年ほど在籍した後、自己啓発系セミナーや、ヒーリング等を経て、それなりにポジティブな方向に持っていくことはできるようになりましたが、母との関係は相変わらずで、いつしか母の顔は能面のようになり、すっかりまともな会話もできなくなっていました。
実家からの電話の着信を見ただけで身体が凍りつき、夜中や朝目覚めたときに何とも言えない孤独感、虚無感のようなものとともに、呼吸が苦しくなり、痺れなど身体症状にも襲われるようになりました。
そもそも人間の幸・不幸、善・悪、平和・戦争、優・劣‥‥といった概念が存在することが疑問で、真理を求めてさまよっていました。そしてたまたま読んだ仏教系の本から原始仏教に出合い、ヴィパッサナー瞑想というものがあることを知りました。
ネットサーフィンでグリーンヒルのHPにたどりつき、早速朝カルに申し込みました。地橋先生の講座では毎回インタビューというコーナーがあり、個人のレポートや質問に懇切丁寧に答えてくださることにまずは驚きました。毎回の講座の中から今まで疑問に思っていたことが少しずつ紐解かれていかれる気がしました。
どこをとっても潔いと思えるヴィパッサナーに惹かれ3か月ほど通った頃、数年前から患っていた右首筋の痛みが消えていることに気づきました。これは効果があるかもしれないと思い、一日10〜30分の瞑想を続けていましたが、瞑想を始めるとザワザワと何かが蠢くような感じがして、もう少し詳しくアドバイスをいただきたかったので、1DAY合宿に申込みました。
その日はテクニック的なことを教えていただく為に参加したので、自分のプライベートな事などお話しするつもりはなかったのですが、面接に呼ばれて行くと、先生と向かい合うや否や、なぜか自分から「喧嘩の絶えない家庭に育った」こと、「父の介護に直面している」ことなど一気に話し始めたのです。
先生は、今の私には瞑想技術よりも反応系の心の修行が必要とのことで、5日後に迫った短期合宿に参加することを勧めてくださいました。合宿に参加するなど全くの想定外でしたが、ついに積り積もった悪業に向き合う時が来たと腹を括り参加を決意しました。
当日は「よく来ましたね」と先生が迎えてくださり、我が家に帰ったような安堵感を感じました。不思議なことに1日目から妄想が激減、いつものザワザワ感もありませんでした。また、いつも夕暮れ時に襲われる得体の知れない淋しさも感じられませんでした。さらに、寝つきの悪い私が、枕に頭が着くや否や熟睡でき、起床時に襲われる「嫌な感じ」もなくスッキリと目覚めました。
そしてインストラクションでは、今まで自覚できなかった醜い自分の姿が顕わになり、嫌悪してきた相手に自分の姿が投影されていることがわかりました。3泊4日の合宿が短く感じられるほど清々しい気分で帰途に着きました。
その2か月後、内観を受け、うっすらと母の「優しさ」が感じられるようになってきた頃から、母の表情が美しくなってきたのです。「あんたなんか産まなきゃよかった!育てて損した」などとつい最近まで言っていた母から、時折「ありがとう」の言葉が出るようになりました。とはいうものの、瞑想修行は始まったばかり、本当の浄化はこれからではないでしょうか。
今世でできる限り心のお掃除をして来世に繋げたいと願っています。