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東日本大震災被災者の皆様へ

 東日本大震災被災者の皆様へ

★このたびの東北地方と関東地方を襲った未曾有の大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、心から哀悼の意を表します。
 また、事後1ヵ月になるのにいまだに先の見通しが立たず避難所で過ごされている方々、地震と津波の被害に加えて原発の放射能被害にも苦しまれている方々に、衷心からお見舞いを申し上げます。

 私たちブッダの瞑想を実践している者も、義捐金を急送し、日夜皆さまへの慈悲の瞑想に専念しております。Web会会員の中には、高齢にもかかわらずボランティアとして被災現地へ飛び、少しでも被災者の皆さまのお役に立とうと身を粉にして立ち働かれた方もおります。
 今回の想像を絶する大惨事に襲われた方々のために、自分には何ができるのか、そしてどのようなお言葉でご同情申し上げれば良いのかと問うと、途方に暮れるばかりで言葉がありません。
 家族の一人を失うだけでも深い悲しみに打ちのめされ、立ち直るのにどれほど長い時間を要することでしょう。
 しかるに今回の大災害では、親を失い、祖父母を失い、子供を失い、兄弟姉妹も、親族も友人も知人も同僚も……この世で最も大切な人をことごとく喪ってしまった方々がどれだけいらっしゃることでしょう。その悲しみと苦悩がどれほど圧倒的なことなのか、私たちには想像することもできないのです。

 最愛の人を喪っただけではなく、家も財産も仕事も思い出の品も故郷の風景も何もかも一切を、ことごとく大津波に呑み込まれて失ってしまうことがどれほど恐るべきことなのか、どのような喪失感や虚しさに打ちのめされることなのか……私たちは決して被災者の皆さまと同じ地平に立つことはできません。
 毎日報道される被災者の皆さまのご様子を拝見する度に、矢も盾もたまらない気持ちに駆り立てられながらも、老母の介護に明け暮れる日々の中ただ立ち尽くしております。
 岩手・宮城・福島各県の災害対策本部に義捐金を3度に渡って送らせていただいたりしたものの、そんなことで被災者の方々の心に寄り添えるとは到底思えません。
 被災者の皆さまの量り知れない喪失感や先の見えない不安や絶望感、虚しさを思い、今、自分に何ができるのかを模索しつつ、日々、心底から慈悲の瞑想をさせていただいております。

 私たちが日々精進している原始仏教では、一切皆苦が説かれ、欲望と怒りとエゴイズムの煩悩に深く汚染された心を浄らかにしていくことによって、苦しみから解脱していく方法論が示されています。
 人の心は底知れない無明の闇におおわれていて、貪瞋痴の煩悩は根深くいかんともしがたいという基本認識があります。
 この世界の苦の現状をいかに深く認識し、受け止めていくか。
 それは原始仏教の最大のテーマなのですが、今回の大震災で被災された方々の遭遇した苦は、人間にこれ以上の苦しみや悲しみはあり得ないだろうと思われるほどの最大級のドゥッカ(苦)だったのではないでしょうか。

 ご家族の死が確認された後に襲われる虚しさや悲しみは、生きていく気力を奪い去っていきます。
 この世に独り取り残されてしまったのに、住む家もなければ仕事の見通しも立たず、文字どおり着の身着のままで家財も私物も何ひとつ所有する物が失われてしまった圧倒的な喪失感にどう立ち向かえばよいのでしょう。
 人生を振り返り心の中に思い出を甦らせる写真やアルバムすら失われ、まるで原爆が投下されたかのように、故郷そのものが跡形もなく破壊され尽くしてしまったのです。
 こうした悲しみに加えて、物流の劣悪さから極めて苛酷な避難所生活を3週間、4週間と続けられていらっしゃるのですから、誰もが自分のことしか考えられなくなり、殺伐とした雰囲気が醸し出されてしまうのではないかと案じておりました。

 ところが、現実は正反対でした。  今回の大震災直後から眼を瞠ったのは、あれほどの被害に遭われ全てを失った被災者の方々が全身で示されている謙虚さや優しさ、他の方々への配慮、苦しい胸の内を語られる時の控えめで静かな印象でした。
 厳しい生活を強いられ、ご自身も家族を失い家を失い飢えと寒さに耐え忍んでおられるのに、「私たちは十分ですから、もっと大変な方々を先に救ってあげてください」と多くの方々が仰るのです。
 なぜ、これほどの苦のどん底にいながら、こんな優しい、思いやりに満ちた「悲(カルナー)」の心になれるのだろう……と激しく心を揺さぶられ続けてきました。
 避難所の方々に無償で散髪や髭剃りをされている美容師さん、お年寄りの方々に歯磨きや口腔ケアを指導されている歯科衛生士さん、ご自分の家族の安否すら確認できていないのに全力で医療に力を注がれている医師や看護師の方々……。
 「家は全部流されてしまいましたが、皆さんのお役に立てればと思って……」と多くの方々が避難所に暮らす他の方々を思いやり、助け合いながら日を過ごされている姿は人間の素晴らしさ、優しさ、善なる性を証しするものであり、神々しいまでの印象を受けました。
 こんなに深く傷つきながら温かみのある優しさと純朴さを失わない被災地の方々が大好きになってしまいました。
 被災者の方々にお見舞いを申し上げ、くじけないように元気づけ、励まし、復興に向けて私たちも最善の協力をしていきたい……と考えておりました。
 しかしそれは、とんでもなく不遜な思い上がりだったことに赤面する思いでおります。

 大震災に衝撃を受けた日本中の人たちが、いや全世界の人たちが、被災者の方々を支援しようとボランティアに立ち上がりました。しかし世界中の誰よりも、苦しんでいる被災者を支援し救済しているのは、同じ被災者の方々だったのです。
 この上ない苦しみと悲しみに深く傷ついたがゆえに、その痛みが崇高な共感能力となって、共に被災した他の方々への感動的なまでの優しさや思いやりとなって具現化していく……。
 その尊いお姿に感銘を受けました。
 教えられました。
 私たちが実践している仏教の真髄を見事に体現されていることに衝撃を受けました。

 被災者の皆さまに、心から尊敬の念を捧げたいと思います。
 地震の被害も、津波の被害も、原発の被害も、まだ何ひとつ見通しが立たず、苦境は変わらずに続いております。
 でも、私たちも、被災者の皆さまには及びもつきませんが、それぞれの立場で自分にできる支援をさせていただき、東北の復興に、日本の再建に、力を合わせていきたいと思います。
 大震災の被災者の皆さまの幸せを心からお祈り申し上げております。
 ありがとうございます。

  2011年4月8日
  グリーンヒル瞑想研究所所長
    地橋秀雄



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